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  テーブルクロック (TABLE CLOCK)

 時計師辞典の著者でもあるG.H.Baillieの著書"Old clocks and watches and their makers"において、テーブルクロックは"Clocks with horizontal dials, being designed to stand on a table(テーブルの上に置くのを前提にデザインされた、ダイアルが水平面にある置時計)"の特徴をもつものと紹介されています。16Cの終わりから18C中頃までに作られた置時計で、このような特徴をもつものを特に"table clock(テーブルクロック)"と呼びます。

 初期のテーブルクロックは円柱や四角柱といった比較的単純な形状でしたが、後に六角柱のものが多く作られ、中には八角柱のものも作られました。また、多くのテーブルクロックは鎖引きのバージ脱進機であり、底面にベルが内臓されているという特徴を持ちます。今回ご紹介するテーブルクロックは、時打ち、アラーム機能を備えたもので、時代的には最後期のものになります。 
 


   各画像は拡大できます
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 1780年ごろに作られたテーブルクロックです。オーストリア製です。側およびムーブメントは真鍮製で、全体的に鍍金されています。六角形の対面距離は約10cm、高さは約9cmです。

 ダイアル面には鍵穴が3つあります。11時位置が時打ち(アワーリピータ)用、6時位置が運針用、4時位置がアラーム用です。アラームは12時位置にある平たい針を動かして設定します。
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 上はムーブメントを取り出したケースの写真です。底面にベルが内臓されているのがわかります。

 下はムーブメントの底面の写真です。ハンマーが2つあり、大きいハンマーが時打ち(アワーリピータ)用、小さいハンマーがアラーム用です。上の写真のベルを内側から叩きます。

    アワーリピータ音をお聞きいただけます。
    こちらをクリック(約1MB)してください。
     
 
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 ムーブメントは運針、時打ち(アワーリピータ)、アラームの3トレン構成になっています。運針トレンのみ鎖引き機構を備えています。(その他のトレンはゴーイング・バレル形式)

 初期のテーブルクロックは時打ちの機構にカウンターホイールを使用していたため、リピータ機能を合わせ持っていませんでしたが、後期のものは時打ち機構がラック式になり、リピータ機能も合わせ持つようになりました。
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 テーブルクロックは持ち歩きをある程度前提に入れたものであり、そのための専用ケースが付属しています。

 木製ケースの外は皮張り、内はベルベット敷きになっており、3枚目の写真のように、時計を取り出さなくとも時間がわかるように工夫されています。

 この時計を手に入れた時、ムーブメントまで埃だらけで、側も鈍く光る程度でした。分解調整と同時に、パーツを根気よく磨くことで、何とかここまでの光を手に入れることができました。
 
 姿勢差を非常に強く受けるバージ脱進機ですが、持ち歩かず静置した状態で使用すると、1分以内の日差で時を刻んでくれるので、十分実用に耐えられます。日ごろから愛用している最も愛着ある時計です。


  作成日:2003.09.01  kei@nawcc131.org


  

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